Stand Up and Shout!

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IT勉強会で「ビジョン」についてプレゼンした

2019年4月12日(金)の夜にITエンジニアのイベントで発表してきました。

イベントとは、「eLV」が主宰しているIT業界あるあるBAR vol.4 ~多彩なITあるあるネタ・技術ネタLTが満載! の交流イベント~ - connpassになります。毎回、5〜10組程度のLT*1の発表を聴きながら参加者との交流が行なえます。
IT業界に関する事なら何を発表してもいいので、発表を申し込みました。また、このイベントは今回で4回目となりますが、私は3回目の発表となるので非常に打率が高いです(打率 .750)。

タイトルは、「『ビジョンって何だ?』です。 スライドもSpeakerDeckへ公開したので、ここにリンクを貼ります。

speakerdeck.com

では、発表したスライドについて解説していきます。 構成は以下の通りです。

発端

私は、自社のビジョンを考えたわけでも、外部企業へ経営コンサルをしているわけではありません。 たまたま、最近、読んだ2冊がビジョンについての本で、とてもよい内容だったので発表することにしました。その2冊は、「THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由」と「直感と論理をつなぐ思考」いうタイトルの本になります。

さらにいうと、ビジョンの事を発表をしたかったわけではありません。 では、何をとうことですが、「他人ファーストで人生を送っている自分は本当に正しいことなのか?」と、いう自分へ対する問いがあり、これをみんなと一緒に共有してみたかったからです。

それでは、それぞれ本で印象的だったことと、この2冊で共通していた分散化に関することについて発表したので、順に解説していきます。

1.【1冊目】THE VISION

1つ目は、江上隆夫氏の「THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由」という本です。

この本で、一番印象的だったのは、「日本(日本人)はビジョンより、リアクションで動いた時こそ最大の能力を発揮していた。」と書いていたことでした。日本は鎖国時代の黒船来襲や、敗戦後で米国から圧力があった時こそ急激に成長していたという事実についてです。最大で能力を発揮できたのは素晴らしい事ですが、これは完全に他人依存で取り組んでいたということになります。これを読んで私は、できることなら自分が本当にやりたいと思ったことで生きていたいと強く感じました。

国だけではなく、国内企業のビジョンもいくつか載っています。しっかりしたビジョンを掲げていた企業は今も軸がぶれてなさそうと感じた反面、ビジョンではなく道徳的な事を掲げていた企業が衰退している例を見て、優れたビジョンを掲げると優良企業になる可能性が高いという内容にはとても説得力があると感じました。

では、その優れたビジョンとは一体どんなものでしょうか?この本では、「個の夢」と「公共の夢」が重なる中で、より自らが生み出しえる最高の公共的未来像になっていることを指していました。そういうビジョンに共感した人々による組織で成り立っていることが重要だと。私はこの内容に大賛成です。「個の夢」は、真・善・美のようなものや、自分自身のアイデンティティのような思考・感情・行動、そしてスタンスやさまざまなスキル向上などが考えられます。「公共の夢」には、SDGsWEFのレポートで挙げている世界的な課題や、日本のSociety 5.0としての未来投資戦略2018に候補があるかもしれません。または、東京オリンピック、2025年の万博のような文化やスポーツ・健康の中から本当に目指したいことや、欧州のEuropa2020Horizon 2020のレポートからも参考になるヒントがあるかもしれません。

また、この本では、ビジョンという言葉の定義も、人によって曖昧になっていることも指摘されており、ビジョンコンセプトバリューのような理念に関する定義や関係が整理されていました。この内容がとてもわかりやすくて私自身もスッキリとしました。

この本につては以上のような、「リアクションをがんばってきた私たち日本人と、そもそもビジョンとは何かに」について発表しました。

また、今回の発表では触れませんでしたが、本の後半に「企業のビジョンをつくる方法」についても説明があります。改めて企業のビジョンを練り直したい場合には、この本が参考になるのでは思いました。

THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由

THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由

2.【2冊目】直感と論理をつなぐ思考

2つ目は、佐宗邦威氏の「直感と論理をつなぐ思考」という本になります。

結論からいうと、この本では、「ゼロ(0)からイチ(1)を創造する方法」を学ぶ事ができます。

そして、その種となるものが自分の内発的動機の高い妄想(VISION DRIVEN)だと書かれています。この妄想から創造する方法を「ビジョン思考」といい、どういったプロセスで行うべきかが説明されています。

私は、もともとゼロ(0)からイチ(1)を創ることができずに苦しんでいました。これは当たり前で、そもそも出来る人なんて、なかなかいないはずなんです。でも、この本を読むと、本当にそれが実現できるかもしれないという自信が持てます。詳しくはamazonへもレビューを書いたので、こちらも参考にしてみてください。

「ビジョン思考」とそれ以外の3つ世界との違いについて公開されている図があります。今回の発表では、これを元にカイゼンからビジョン思考までの道筋について発表してみました。本の章としては、「はじめに」と「序章」にある内容となります。

  • 1.カイゼン思考(PDCAなどで効率的な作業を行うこと)
  • 2.戦略思考(目標を設定し、それについて戦略を立てて取り組むこと)
  • 3.デザイン思考(課題を設けて、発想を広げて解決すること)
  • 4.ビジョン(妄想)思考

それぞれを目標視点で考えると、「カイゼン思考」は(組織や仲間との)効率化のため、「戦略思考」、「デザイン思考」はお客のために最善を尽くすことで、これらを達成できると自分たちの利益や成績にも繋がります。達成できたら利益も増えて自分がハッピーになると割り切るのでもいいのかもしれませんが、自分としては、なぜかこの3つの世界は他人モードのような気がして、なんかモヤモヤしてしまいました。

その一方で、「ビジョン(妄想)思考」ですが、これは妄想を機動力にして創造していくものとなっています。何だかモチベーションがあがりワクワクするし、それが生きていくことに直結できたら何て幸せな人生なんだと、私のようなサラリーマンとしては憧れてしまいます。

ただ、この4つの世界の図をよく見ると、「ビジョン思考」へ繋がる橋だけは架かっていません。さらによく見ると4つの世界の中心に深くて大きな穴が空いているのです。もしかすると、この穴に落ちると行けるかもしれないけど本当なのか?という事で、皆さんだったらその穴へ飛び込む勇気はありますか?という話をしました。でも、この穴に飛び込む勇気があったものこそ、『妄想(ビジョン)』を駆動力にできた強い人や組織になれるのです。

これは、自分の人生に置き換えると、「50歳をまじかに迎え、かつ、受験を迎えた子供がいるのにこのタイミングで起業できますか?」ぐらいの究極の選択になります。

それはさておき、私があえて宣伝するまでもなくベストセラーとなっている書籍です。リアクション大国日本から脱するためにも、より多くの人に読んでいただき、実際の取り組み方を身につけて欲しいです。20代、30代ぐらいの時に読んでいたら間違いなく起業してたかもw

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

3.分散化

最後は少しおまけですが、分散化について話しました。直接、ビジョンとは関係ありませんが、さきほどの2冊に「分散化」のことが書いていたので、さすがにこれには何か感じるものがあり、私が応援しているUnchainedについても伝えました。

一例を挙げると、未来の社会では、企業のような組織には属さずに個人の集まりで大きなミッションがこなせる可能性があります。これにはクラウドのように設備投資無しに、誰もが膨大なマシンリソースをすぐに使えるという技術の進化も影響しています。 もう少し具体的なイメージとしては、分散化したネットワーク上に存在する個人や小さなチームで「同じビジョン」を持った集まりを合成して、都度、プロジェクトを形成し自律的・内省的にミッションをこなしていくようなマーケットプレイスが存在する感じでしょうか。そしてそのプロジェクトは、階層のないフラットな関係で、運営や規律などのルールは人ではなくスマートコントラクトのようなプログラムでできています。マーケットプレイスにあるAIが、仕事の候補を解析して、同じようなビジョンを持つ個人をマッチングしてチームを形成するのです。進捗状況も管理してくれます。その方が無駄もなく効率的で、そういったプロジェクトが速いスピードで次々と社会を変えていくかもしれません。

すべてがプロジェクトベースの社会へなるとは思えませんが、こういった取り組みのきっかけに近い活動としてUnchainedというイノベーターのためのビジネスハブがあります。せっかくなので紹介してきました。分散テクノロジーブロックチェーンWeb3.0などを学びつつ、他企業と連携しながらイノベーション創造を行うカリキュラムが用意されていたり、欧州最大のテックカンファレンスであるTOA(Tech Open Air)オフィシャル視察ツアーも企画されています。北米ではテキサスのSXSWが有名ですが、欧州ではTOAが一番有名です。また開催都市のベルリンはブロックチェーンが非常に活発な都市です。ブロックチェーン特化型コワーキングスペース「Full Node」なども訪れるはずなので、世界規模の分散プロジェクトを実際に体験することができるかもしれません。

近々、説明会も予定もされているのでリンクも共有します。説明会は無料なので、興味のある方は一度、参加されてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

以上の3つから伝えたかったをまとめるとだいたいこんな感じになります。

  • ビジョンとは、『自らが生み出しえる最高の公共的未来像』である。
  • 妄想』を駆動力にできる人・組織は、やはり強い。
  • 分散化』は、未来像を描く(ビジョン)上では欠かせない。

「空気が読める」からこそ「他人モード」にハイジャックされている自分の脳を、今こそ「自分モード」へ切り替えなければ!と、自分も含めて参加者のみんなへ伝えてみました。

ただ、発表時間が5分だけなので、きちんと伝えきれませんでしたw

これで、おしまいです(^^)

*1:LTとはLightning Talks(ライトニングトーク)の略で、カンファレンスやフォーラムなどで行われる短いプレゼンテーションのこと