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失敗の科学

『失敗の科学』は2016年12月23日に出版された。

本書は、『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』というタイトルで、失敗と向き合うことの重要性について詳しく論じています。

原書は『Black Box Thinking: The Surprising Truth About Success』というタイトルで「ブラックボックス思考 成功の意外な真実」なので、かなり日本風にタイトルをアレンジしてますね。

まず、航空業界と医学界という二つの業界を取り上げ、航空業界における安全管理の進化と医療過誤が繰り返される医学界の現状について比較しています。航空業界では、過去の事故を教訓にして安全管理が進化し、事故率が大幅に減少しています。一方、医学界では毎年数万人が医療過誤によって亡くなっており、失敗に対する取り組みが不十分であることが指摘されています。

本書では、失敗の科学的メカニズムだけでなく、人間が失敗から学び進化するメカニズムにも焦点を当てています。航空業界のパイロットが失敗を学びの機会と捉える一方、医学界や企業の上層部では失敗を避けようとし、隠蔽する傾向があることが指摘されています。

さらに、本書では「GRIT」という視点を取り入れ、なぜ人や組織が成長するためには失敗が必要不可欠なのか、そして失敗を活かせる人や組織とそうでない組織との違いについても探求しています。成長型マインドセットを持つ人や組織は、失敗を自分の力を伸ばす上で欠かせないものとして受け止め、積極的に学びの機会に変えることができるとされています。

本書は、失敗を単なる失敗に終わらせず、次につなげる形で活かすためには、学習チャンスを最大限に活かすシステム作りと現場のスタッフからの情報提供が重要であると指摘しています。また、企業の管理職や組織文化においても、固定型マインドセットではなく、成長型マインドセットを持つことが重要であり、失敗を恐れずに学びの機会を創出することが成功への道とされています。

総じて、本書は失敗に対する新たな視点やアプローチを提供し、失敗から学び進化するための方法や組織文化の構築について考えさせられる内容となっています。

失敗の科学の目次を俯瞰する

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
    第1章 失敗のマネジメント
        「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか
        「完璧な集中」こそが事故を招く
        すべては「仮説」にすぎない
    第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
        その「努力」が判断を鈍らせる
        過去は「事後的」に編集される
    第3章「 単純化の罠」から脱出せよ
        考えるな、間違えろ
        「物語」が人を欺く
    第4章 難問はまず切り刻め
        「一発逆転」より「百発逆転」
    第5章「 犯人探し」バイアス
        脳に組み込まれた「非難」のプログラム
        「魔女狩り」症候群 そして、誰もいなくなった
    第6章 究極の成果をもたらす マインドセット
        誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる
        終章 失敗と人類の進化
        失敗は「厄災」ではない