概要

「バーティカル SaaS」（Vertical SaaS）と「ホリゾンタルSaaS」（Horizontal SaaS）は、SaaS（Software as a Service）の2つの主要なタイプで、それぞれ異なる目的と特性を持っています。

バーティカル SaaSは、特定の業界やニッチな分野に特化して設計されたソフトウェアサービスを指します。これは特定の業種用にカスタマイズされたSaaSで、特定の業種で使うことを想定しています¹。例えば、医療用機関向けのSaaSや不動産業界向けのSaaSなどがこれに該当します。バーティカル SaaSは特定の業種に特化している分、導入する企業側ではソフトウェアをカスタマイズする時間も省け、スムーズに欲しいSaaSを導入できるというメリットがあります。

一方、ホリゾンタルSaaSは、幅広い業界やビジネスで利用できるように設計されたソフトウェアサービスを指します³。これは業種に関係なく、特定の業務に使われるSaaSを指します。例えば、勤怠管理や経費精算、MAツール、メールサービス、オンラインストレージサービスなどがこれに該当します。ホリゾンタルSaaSは日本で現在一般的なSaaSタイプであり、「会計クラウドサービス」や「人事クラウドサービス」などが例として挙げられます。

これらの違いを理解することで、自社に合ったSaaSを選択し、ビジネス課題を解決することが可能です。

代表的なサービス

	バーティカル SaaS	ホリゾンタルSaaS
日本	カイポケ, SPIDERPLUS, メドレー, ANDPAD, hacomono	Salesforce, freee, Sansan, マネーフォワード
海外	Veeva, Procore, Toast	Salesforce, Service Now, Hubspot

特徴

バーティカル SaaS（Vertical Software as a Service）とホリゾンタルSaaS（Horizontal Software as a Service）は、クラウドコンピューティングの分野における2つの異なるアプローチを示しています。以下にそれぞれの特徴と違いを明示します。

ターゲット市場:
- バーティカル SaaS:
  - 特定の産業や業界に焦点を当てたソフトウェアソリューションを提供します。
  - 例えば、ヘルスケア、不動産、製造業など特定の業界のニーズを満たすためのソフトウェアを提供することができます。
- ホリゾンタルSaaS:
  - 業界を問わず、幅広い市場に対してソフトウェアソリューションを提供します。
  - 例えば、CRM（顧客関係管理）やメールマーケティングプラットフォームなどがあり、これらは異なる業界の企業に利用されることがあります。
カスタマイズと専門性:
- バーティカル SaaS:
  - 高度に特化し、業界特有の要件と規制を満たすためにカスタマイズが可能です。
  - 専門知識を持っているため、その業界の特定のプロセスと問題に対処することができます。
- ホリゾンタルSaaS:
  - 汎用的で、カスタマイズが可能ではありますが、業界特有の要件に対応するのは困難であることがあります。
  - シンプルで直感的なソリューションを提供し、広範なニーズに対応することを目指しています。
コンプライアンスと規制:
- バーティカル SaaS:
  - 業界特有の規制やコンプライアンス要件に対応する設計がされています。
- ホリゾンタルSaaS:
  - 一般的なビジネスプロセスに焦点を当てているため、特定の規制やコンプライアンス要件に対応するのは困難であることがあります。
市場へのアプローチ:
- バーティカル SaaS:
  - 業界知識が豊富で、ターゲット市場に対して独自の価値提案を提供できます。
- ホリゾンタルSaaS:
  - ブロードマーケットにアプローチし、多くの異なるタイプの顧客に対して価値を提供します。