2022年3月29日に『21世紀の教育 子どもの社会的能力とEQを伸ばす3つの焦点』出版されました。
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現場で取り入れて欲しいことがたくさん載っていた
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ダニエル・ゴールマンとピーター・センゲの共著「The Triple Focus: A New Approach to Education」が「21世紀の教育――子どもの社会的能力とEQを伸ばす3つの焦点」というタイトルで翻訳された。8年前に書かれた本らしいので「なぜ今頃翻訳されたのか」気になりつつ読んだが、なぜこのタイミングで出版されたかがよくわかった。
ここ数年で、SEL教育とシステム思考を掛け合わせたSEE-Learningというのが実践されるようになっているそうです。この掛け合わせで追加されたコンパッション(共感する)の部分がとても印象的でした。客観的に物事をとらえながら、よりよくする意図をもって活動するようになることです。子供は特に友達や先生という人間だけで判断することが多いので、目的(問題解決)を中心に考えることでグループの団結力が高かまったり、いじめも少なくなりそうでした。
自分自信や他人を感情のコントールや脳科学によって養成し、システム思考などで身の回りに関するさまざまなつながりや社会や環境との関係性を、時には時間の関係まで考慮しがら、他人と共感し合い問題を解決させている様子が目に映るような綺麗な流れで説明されていく。AI(人工知能)には当分解決することはできず、これからの人間が最も重要視する能力だ。さまざまな関係者による協力が必要だが、当然、関係した全ての人へメリットがある。このSEL(社会的能力と気持ちに関わる能力を伸ばす)教育こそが、子ども達やその教員、そしてその保護者が今すぐ進めるべきものだろう。例えば日本の教員には最近はファシリテーター能力が求められてそうですが、この本の中では教師自信にとっても自分事である役割なのでファシリテーターのような客観的な立ち位置ではなさそうで、最近読んだ中で「ジェネレーター」という本がこれに近い内容でした。昔からこういう視点はあったのかという発見にもつながりました。
システム思考では「システム思考家(シンカー)の13種類の習慣」が絵で紹介されてて、とてもイメージがつきやすいので、ときどきこれをチェックすることで習慣化できそうでした。
さらに日本語版では巻末付録にSEL教育のツールなどが紹介されていて、保護者の立場として、学校にすぐ取り入れてほしいものもありました。
原作の出版から8年を経て出版されたこの日本語版は、コロナ禍の影響や社会や経済へのねじれを迎え混沌(こんとん)としている現代の日本の中で、未来の基盤となる若者世代が自分事として本気で成長できるきっかけとなる一冊になりそうです。単なる読み物としてではなく、繰り返し実践したい事や意識が身につくところがポイントです。本書のガイドラインなどを参考に各クラスや学校などがやり出すと、米国の時と同様に最初はゆっくりと効果が現れはじめますが、やがて日本全体でモメンタム(勢い、はずみ)が強くなるのではないでしょうか。
目次の俯瞰
21世紀の教育 監訳者まえがき 答えのない世界を生きる子どもたちのために はじめに 新しい世界を生きる子どもたち トリプルフォーカス この本の構成 この本を上梓した理由 PART1 - より良い人生のための教育 ニューヘイブン市の先駆的実験 社会的行動と学力のつながり 成功する教育プログラムの共通点 SELが教える5つの能力 PART2 - 私たち自身にフォーカスする 自分に気づく力を身につける 脳の科学から教育を考える 自分にフォーカスする力を強化する PART3 - 他者にフォーカスする 他者に気づき理解する力の教育が求められている 行動につながるコンパッションが必要だ 子どもの人生を変える教師の存在 より良い意思決定のための教育 デジタル・テクノロジーの時代の教育 人新世の難問に応えるスキル PART 4 - 世界を理解する システム思考 システム思考を教えることの意味 動的な複雑性―システムの理解へのチャレンジ 理科の授業で公園を設計する 悪循環をいかに断ち切るか? 社会的複雑性システムの理解へのさらなるチャレンジ 「不法滞在者」を取り締まるべきか? システム思考を生きる力にする 教育は希望の源泉 PART5 - SELとシステム思考のトリプルフォーカス SELとシステム思考に関する教育の連携 SELの目指す5つの能力が高まる相乗効果1 認知能力が解放される相乗効果2 教え方と学校の文化が変わる相乗効果3 教師が変わらなくてはならない 教育におけるチェンジリーダーの条件 子どもたちの未来のために 原注 巻末付録 世界と日本で進むSEL教育入門 SELをもっと知りたい人のための情報源